【3】自身に対する同性愛者としての失望

女性の課長にまず聞かれたのは、
課長:「これは、あなたが書いたのか」
ということだった。

 

私は答えなかったが、私の顔には隠しきれない驚きが現れていたはずだ。
Uさんが、そこに書かれている内容に、自分に対する恐怖を感じる、と課長に言ってきたらしい。
そして課長はその印刷された複数の記事を、削除するように言ってきた。

確かに私が書いたUさんの記事。
だけどUさんの名前なんて、一言も出してはいない。
そして私の過去の恋愛の記事もあった。

私は、「私が書いた、書いていないにかかわらず、私はこの記事を読んで恐怖は感じない。どの部分で彼女が恐怖を感じているのか教えてほしい。そしてまずそのことについて、この記事を私が書いたと思うのならば、本人が私に直接言ってくるべきだ。」そう答えたが、
課長は削除して欲しいの一点張り。
そして、真顔でこう言うのだ。

課長:「彼女のお母さんが心配して、私に電話してきたのだ」

・・・お、お母さん?

 

 

 

私は席に戻ると同時に、Uさんに噛みついた。
「気に入らないのであれば、親に言わずに、直接自分で言え!」という勢いで向かった。
職場は騒然となり、私は女性の係長に止められた。
Uさんはというと、顔は青ざめ、何も言わず、ただただ震えていた。

 

しばらくはこの話も音沙汰がなかったが、ある日係長に呼び出される。
係長:「私は率直にしか言えないから、これからいう言葉であなたを傷つけるだろうが許してほしい」
そう前置きをした後で、
係長:「Uさんは、あなたのことを同性愛者だと課長に言っている。そして、先日のあなたが言い寄った際に恐怖を感じ、一緒に仕事をしたくないと言っている。Uさんのお母さんは、○○学校の校長で、課長とお友達なの。だからあなたにあのような態度を取っているのだが、彼女たちがしていることは許されないこと。だから私が人事課に対応するから、今の雰囲気は仕事がしづらいと思うけれども、しばらく耐えてほしい。」

この時の問題は、私が彼女の嫌う同性愛者であったこと、しかもその同性愛者が自分の目の前で自分より評価されてしまったこと、それにより彼女の不満が爆発したのだ。
恐怖を感じるか、感じないかは目で図ることができない。
そのためセクハラと一緒で、セクハラをしたほうは悪気がなくても、相手がセクハラをされたと思えば、そうなってしまう。
そのことを知っていたので、私は、彼女が感じている恐怖について、少し責任を感じてしまった。罪悪感だった。
でも一方で、私は本当に悪いのか?そうも思っていた。単に権力に負けているだけではないか。
教師の子供だろうに。

 

私は彼女に負けて仕事を辞めるつもりはなかったので、平気な顔でみんなと話をしていた。
また知り合いも、身内もいない環境で、仕返しをする気力もなく、ただいつも隣で指導してくれる係長に対応を任せるしかなかった。

 

 

しばらくして3月末に異動が発表された。
私とUさんは異動となり、彼女はいいところ、私は一番離れた職場へ飛ばされた。入社して1年目のことだった。
そして、退職者名簿に、課長と、係長の名前を見つけるのだ。
係長はまだ54歳で、定年退職までにあと6年もあったのに。

 

私は、同性愛者である自分に失望した。
私は、自分のセクシャルのために、人の人生を台無しにした過去がある。

 

 

つづく




つづく。



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