【3】同性への憧れ

【3】同性への憧れ

私は帰宅して、家族に

「音楽部に入ろうと思う」

と言った。

 

あの時の家族の驚いた顔といったら、今でも忘れることができない。
父は大笑いしていたし、母親は慌てて体温計を探し、姉妹も驚きと不安が入り交ざった顔をしていた。

誰もが、私がずっとやってきた運動部に入ると思っていたのだから、
相当な衝撃だったと思う。

無理もない、音楽経験もない私が、「音楽」を始めたいというのだから。
でも私はその日のコンサートと、最後にチラシをくれた彼女の絵顔にすっかり虜になっていた。
スポーツは続ける、でも部活は音楽部入りたい。
最終的にその気持ちの背を押してくれたのは、父親と母親だった。

 

 

 

正体不明の彼女がくれたチラシを、自分の部屋に持って帰った。
丁寧に勉強机のマットにはさみ、そこに書かれた入部説明会の日が来るのを、
毎日チラシを眺めながら待った。

 

私はこの日から、とにかくクラシックと吹奏楽系の曲をたくさん聞いた。
当時は、隣町にしかなかったTSUTAYAに、父親に初めて連れて行ってもらい、
吹奏楽・クラシック関連のCDをたくさんレンタルした。
起きて目が覚めている間は、ほとんどクラシックを聞いていたし、
寝ている間もほとんどクラシックを聞いていた。

おかげで、中学生当時の私は、テレビはニュース番組しか見ていないし、
流行していたJポップはほとんど知らない中学生だった。
数曲ほど、音楽部の定期演奏会で演奏したJポップがあるが、その曲くらいしか知らない。

 

中学校生活が始まると、友人同士で好きなアーティストの話になるのだが、私はついて行けなかった。
しいて言うならば、安室奈美恵が好きだったくらいだ。

 

チラシをくれた女性は一体誰なのだろう。
私には名前も知らない女性で、何年生なのかもわからなかった。

なぜ私の名前を知っていたのか、何を先生から聞くのか。
学校へ行き、彼女に合わない日を繰り返す間に、彼女への思いは積もるばかりだった。

 

 

ところが思いもよらず、ある日彼女が私の教室へやってきたのだ。

 

 




つづく。



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