【2】惚れた理由

私が入った部活に関しては、県内でも有名校ということで、
先生も、先輩も大変厳しい部活で、朝は6時前に集合。帰宅は22時。
まして、その蟻地獄に入部した私は、音符もろくに読めない問題児であったわけだから、
先生も先輩も大変驚いていた。
演奏中にミスをすれば、迷わずに厳しい言葉が飛んでくる。

 

そして、先輩からの指導と悪口を兼ねた呼び出しが待っている。
同学年の部員の中には、先輩たちに呼び出され、泣いて戻ってくる子が大半だった。
だが、私の呼び出しの時は、Zさんが必ずいてくれた。
すると他の先輩も、口調が柔らかかった。
当時、入部して数カ月で、新入部員は半数まで減っていた。
しかし私はZさんのおかげで、音符を読めるようになり、しぶとく残っていた。
歌のセンスはまるっきりないものの、楽器のセンスはあったのか、
幼少期から楽器を習って入部してきた人と同じ扱いを受けていた。

 

友人たちにとっては、きっと羨ましかったことだと思う。
中学で初めて私と出会った同級生たちは、先輩から特別扱いをされる私の事を嫌う目で見ていた。
しかし授業が進み慣れてくると、その溝はいつの間にかなくなり、
普通に接してくれるようになった。
私が先輩に対して、何らかのコビやゴマすりの行動を行っていないことをわかってくれたのだと思う。

 

 

彼女になぜそこまで好意的にかまってもらえていたのかは、正直自分でもわからない。
おそらく、他の同級生の子たちとは違った、集団に群れない雰囲気を好感してくれていたのだろう。

自分では、他の人との違いが、それくらいしかわからない。
勉強は普通より少しできる程度だったし、スポーツはできたけれど、彼女とスポーツは関係がない。
一緒にいるときは、Zさんは私によく話しかけた。
私は、彼女が話す話をよく聞いていた。

 

今もそうだけど、私は人と話すときは、しゃべるよりも聞く方が得意である。
こうやって文章を書いているところをみると、
私は大変なおしゃべりで自分の話をするのが大好きな人間と思われるかもしれないが、
普段は自分の過去の話はほとんどしない。

なるべく相手に話をさせるように仕向けて、自分の話をする前に話題を変えてしまう。
そのことが、時に「聞き上手」にとらえられる。
特に話し方がクールだとか、気が利くあいずちが打てるとか、そんな器用なテクニックは、私には何もない。

 

 

Zさんに特別扱いをしてもらったことについて思い当たることとすれば、彼女は下に弟がいた。
なので、私を妹のようにかわいがってくれていたのだとも思う。私も、学校でしか出会えない姉の存在を得た心境だった。

毎日楽器の違うZさんが、私に演奏方法を教えてくれたおかげで、
私は名門部になんとかついて行くことができた。

 

 

ただ、最後の最後に、Zさんとのその関係は大きく崩れてしまったのだけど。




つづく。



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