【3】惚れた理由

【3】惚れた理由

だけど私には明らかに、彼女より足りないものがあった。

それは彼女のように、発言を慎重に選べないということだ。
私は相手の立場や、考えを理解することよりも、
あまりにも自分の正義感を優先し、素直に発言しすぎていた。

このことは、とらえ方によって良し悪しがあるのだが、
Zさんは良く思っていたようで、よく意見を褒めてくれた。

私は今でこそ、いろいろと考えながら発言をするようになったけれども、
心の中はずっとあのころのままで、
自分の心には素直に生きていきたいと、今でも思っている。

 

 

私はZさんと部活でも、部活以外の会でも多くの時間を過ごした。

ある日のことだけれども、
イベントの企画をする為に、彼女の家に他の女性を含め3人でお邪魔したことがある。
その日が決まった時は、大変興奮した。
制服以外のZさんの服装を見たことがなかったし、自分もどんな服装をしていけばいいのか、大変不安に思ったものだ。
当日は、近くの目印の場所に集合し、みんなでZさんに案内してもらいながら向かった。

 

彼女の家は、山際にあるスカイブルーの外壁で、しゃれた屋根のログハウス風の建物だった。
私はこの家を知っていたので、到着した時に驚いた。
数年前に作られた家で、私の母がこの家を見るたびに、

 

母:「しゃれたおうちよね。こんなおうちに住んでみたい」

 

そう言っていたからだ。
初めて入った彼女の部屋は、ピンク一色で、
キティーのぬいぐるみがいくつか置いてある女の子らしい可愛い部屋だった。
何より、女の子らしい、お花か、石鹸か、におい玉か、素敵な香りに癒されたものだ。

当時の私の部屋と言えば、
スポーツ関係のグッズやメカニックな音楽再生機器(コンポ)やコミック漫画、
小さな陶器の人形、ドラえもんグッズなどが無機質に並んでいて、
彼女の部屋とは真反対。

女の子の部屋は、こういう部屋なんだと感心したものだった。

 

 

Zさんのおうち訪問の数日後、
このころ生まれて初めて、私はキティーのぬいぐるみを手に入れた。

手に入れると言っても、文房具グッズ程度であれば小さなものは持っていたし、
どこに売っているのかも知っていたのだが、
当時の私には”キティーのぬいぐるみ”が、どこで売っているのかさえもわからなくて、
ゲームセンターで大金を費やして手に入れた覚えがある。

 

 

手に入れたのは、彼女がキティーのことが好きだと知ったからだ。

 




つづく。



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