【1】講師が連れてきた戸惑い

中学校へ通い始めて半年が過ぎようとしていたころ、
ちょうどそのころ、学校全体が道徳教育期間という教育期間に入った。
道徳期間とは、差別、いじめなど、人の権利を不当に扱うことについて考え、人の権利を尊重することを学ぶ期間のことだ。
そのために、全校生徒で学ぶ合同勉強会のような日が設けられ、
全校生徒で『同性愛者』についての勉強を行うこととなった。
全校生徒が体育館に集められ、同性愛者自身が行う講演を聞くことになった。

 

その時、講師として来ていたのは、見た目は女性で性的思考が女性に向く人(レズビアン)と、
見た目は男性だが、実は女性(今でいう、トランスジェンダーかな)の人の2人の講演を聞くこととなった。

私はその2人を見ていて、ぼんやりと

 

「自分はこの人たちの仲間なのだろうか」

 

という、不安を抱いていた。
演台に小さくたっている同性愛者の2人は、
おせじでも「カッコイイ」と言える印象にとらえることができなかった。

言葉は悪いのだけど、小さな男っぽい格好をしているおばさん、としか思えなかった。
その不安は、2人が話を初めて、さらに的中することになる。
声が小さく、どこかおびえたような話し方だった。
おそらく、20歳は越えていたであろう2人の同性愛者。
話の内容も、
もし生徒の中に同性愛者がいても差別はいけないとか、二人自身の過去の話や、あと相談窓口、
そういう内容だった。

そして、最後に悩みは聞くよ、と。

 

だけど、その話を聞いた後の自分の落胆加減は大変大きなものだった。

 

自分もああいう、おっさんみたいなおばちゃんになっていくのだろうかと。
差別はいけないのはわかっているけれど、あの容姿では、差別を受けても仕方ないのでは、とさえ思った。
大変失礼な発言だとは分かっているのだけどね。

そして、同級生から聞こえてきた言葉が、私の心にとどめをさす。

 

友達:「気持ち悪いよね、あの人たち」

 

そう、気持ち悪かった。
その言葉を聞いたとき、ワッっと冷や汗が出た。

そうだ。自分は・・・気持ち悪い人間なのだ。

 

友達:「下ばっかり見てたね、あの人たち。恥ずかしいんだろうね。ね、Feelもそう思わない。」

「そうだね。あれは、無かったね」

 

若い子というのは、容赦ない。本当に素直に物事を解釈する。
思わないようにしよう、いくらそう考えても、思ってしまう事柄は世の中にたくさんある。
それを態度に出すか、出さないかが、大人の対応なのだろうけれども、
中学生には、まだその心はないのだ。

 

当時の私は、心からあの2人を恨んだ。
今の私は30年間ほど人生を生きてきたけれども、私が人を恨んだことは数少ない。
しかし、あの2人のことは心から恨んだ。

 

 

なぜなら、当時の私の周りにいた眠る敵を、一気に目覚めさせて、彼女たちは帰っていったのだから。

 




つづく。



にほんブログ村 セクマイ・嗜好ブログ 同性愛・ビアン(アダルト)へ
にほんブログ村
↑ 他のビアンの方々のブログも、
良かったら覗いてみてください。