【3】講師が連れてきた戸惑い

【3】講師が連れてきた戸惑い

雪が降っているころだった。
Zさんとはあまり会話できない日が続いていた中、彼女と二人きりになる機会があった。

 

そのころ私は、すっかり彼女に恋をしていた。
全校集会のときには彼女を探し、
掲示板に張り出される名前の中にも彼女がいないか、文字でも彼女を探していた。

だけど、彼女の態度はすっかり以前と変わっていた。
私から話しかけなければ、Zさんが話をしてくれなくなっていた。
だけど、二人きりの時は私は嬉しくて、何も会話がなくても、幸せな気分だった。

だけどその日は彼女から、

 

Z:「ねえ、なぜ修学旅行の写真、Kからもらったの?」

 

そう聞かれた。
私は、その頃Zさんの写真が欲しかった。
ずっと欲しいと考えていたが、一緒に撮影する機会もなくて、思いついたのが修学旅行の写真だった。
そこで、私の知った3年生の人に頼み、Zさんが写っている写真を譲ってもらっていた。
この話が出る、2カ月くらい前の話で、同性愛者の講演が行われる前にしていたことだ。
私の心臓は、飛び上がったかのように気まずくドキドキしていた。

 

「先輩が写っている写真が欲しかったのです」

 

そういう私に、

 

Z:「気持ち悪いからやめてくれる?Feelさん、私たち女の子同士なんだよ。あなたは可愛い後輩だけど、そういう思い、私は無いから。早くやめた方がいい。」

 

いつもは、みんなが一番良い選択肢を選ぶことができるように、いろいろなことを考えながら行動していたZさんが、
感情的にこのように言うことに大変驚いた。
ショックで、私は言葉が出なかった。

 

もともと、彼女にも多少の偏見があったのかもしれない。
彼女だって、人間だもの。
あの道徳教育月間以来、学校では隠れ同性愛者探しのようなことが密かに沸いていた。
Zさんも、その中に巻き込まれるのは、さすがに勘弁だったのだと思う。

 

 

その日家から帰った私は、キティーを持って外に出た。
とぼとぼ歩くだけで、涙が出た。
しばらく泣きながら歩き、川のほとりに座り込み、キティーに話しかけた。

 

「私は、先輩が好きです。同性愛者です。ずっと気付いていたけれど、でも言ってはいけないことだと思っていました。気持ち悪いことだとわかっていました。でも、私は先輩が好きです。私は、一生気持ち悪い人間なのだろうか」

 

キティーは黙って、私の涙に打たれてくれた。
ひとしきりキティーに思いを話した後、
「さようなら」
そうキティーに伝え、先輩への思いと一緒にキティーを川へ流した。

 

恋だけでなく、先輩後輩関係も終わってしまったのだった。

 

 




つづく。



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