【4】好きになってはいけない人を好きになってしまった。

【4】好きになってはいけない人を好きになってしまった。

私が彼女にスポーツを教える代わりに、彼女は私に勉強を教えてくれた。
数年後にくる大学受験の時には、
私は彼女が勉強を教えてくれたおかげで、塾に行くこともなく大学受験に挑戦することになる。

彼女は私よりも遠くの地から、この高校に通学していた。

 

N:「Feelともっといっしょに遊びたい。」

 

と彼女は原付の免許を取得した。

私は自転車通学での通学だったが、
彼女はいつもは迎えや、公共の交通機関で通っていた。
彼女のこの行動は、彼女なりの恵まれた生活から逃げたかった思いを行動にしたかのようでもあった。

 

「お嬢様、バイクに乗る」

朝はヘルメットから長い茶色い髪をなびかせて、
さっそうとバイクで登場する彼女と、自転車置き場で落ち合うのが日課となっていた。
お互いに言い合わせて待っていたわけではない。
どちらともなく、時間をつぶしながら、お互いを待っていた。

 

 

 

季節は、冬が近づいて日が暮れるのも早くなった。
私は部活が終わるのが遅く、また、彼女も部活を遅くまでしていたため、
お互いに帰宅準備できる時間は遅い時刻だった。
そのころには、時には彼女の劇や放送の大会を見にきて欲しいと、彼女に誘われるようになっていた。
また、時には私の試合を見に来てもらったこともある。
時間を合わせ、合わせられつつ、私たちは一緒にいる時間が多くなっていった。

 

舞台に立つ彼女は、普段自分が見ている女性とは別人だった。
大きく動き、大きな声。
でも、容姿はとても美しかった。
彼女のセリフが終わり、ゆっくり暗転するシーン、そんなシーンが大好きだった。
仲良くなるにつれて、私たちは誰もいないところでは手をつなぐようになった。

 

歩けば肩が当たり、笑えば顔が近づいた。
彼女の香りを感じ、彼女の暖かさを感じた。
でもこんな時に思い出すのが中学校の頃の失恋の思い出だった。

 

 

彼女は、他の同級生とも手をつなぐこともあったし、
友達たちと話をしている過程で、相手を触る様子を見ることも度々あった。
彼女に限らず、教員も、他の友達も、私を触ることもあった(教員と手はつながなかったけれどね)。

 

だから、自分だけが彼女に特別な対応をされているのではないし、
彼女も私にだけ触ってくるのではない、それはよくわかっていた。
だけど、自分の気持ちに、私は気付いていた。

彼女の事を私は好きになっていた。

人と距離を置こうと考えていた私の思いを、いつしか彼女は乗り越えていた。
もう彼女を追い出せない。
だから、耐えることができるのは自分だけだ。

 

 

追い返そうにも、今の関係は崩したくない。
だから、彼女を悲しませるような行動はだめだ。
今と変わらず、秘めた思いは誰にも言わず、私は変わらぬ態度で接するのだ。
好きな思いは、絶対に言ってはいけないし、態度に出してもいけない。
気付かれてしまっては、中学生の頃の二の枚だ。

こんな幸せな時間が無くなってしまうのは、悲しすぎる。

 

 

あまりにも、悲しすぎる。

 

 




つづく。



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