【8】好きな人を目の前で失いそうになって、初めてどうしようもなく好きだと気づく。

私たちが1年生のときの、当時の3年生の卒業式のことだ。

私は彼女へ日に日に思いだけを募らせて、一緒の時間を過ごしていた。
だがその卒業式の放課後に、彼女がNが告白されることになって、
見知らぬ男性に呼び出されて行ってしまった。

相手の人はと言うと、とてもいい人と噂に聞く卒業する男性の先輩だった。
彼女の、仲の良かったグループ内の男性だった。
クラスの女子は大盛り上がった。
お似合いだと、彼女を祝福する声が響きわたった。
この状況には私の心は一瞬にして折れてしまい、私は彼女が彼と付き合うとばかり思っていた。

 

大好きな人を、取られるという不安。
不安って、こんなにも不安なのかと一人打ちひしがれた。
私が友達に「好き」と言われた時にNが感じていた不安は、
もしかしたらこんなにも大きな思いだったのではないか、
いやあの時のNの言葉は違う、友人の好きという意味ではないのか、いや・・・思いがぐるぐるまわった。

 

行き場のない思いで心がいっぱいになってしまった私は、
友達の会話の輪に入ることもできなかった。
周りの声が、聞こえなかった。
帰ろうか、Nを待とうか。

 

 

絶望の中しばらく教室内にいたところ、ひょっこり彼女が帰ってきた。
みんなが囲む中、

 

N:「付き合わなかった」

 

という話をしていた。
彼女は笑顔だった。

友人たちは、なぜ付き合わなかったのかと彼女を問いただしていたところ、

 

N:「だって好きな人がいるんだもん」

 

彼女がそう言った。
私は教室の端の方で、自分が今までに感じたことのなかった不安を噛みしめて、告白しなければ。
そう初めて思ったのだった。
クラスは、Nの好きな人がいる宣言に、大きく沸いた。

例え私とNの関係が崩れてしまっても、
Nの好きな人に私が勝つことができなくても、
今の気持ちを話して、彼のように決着をつける必要があるのではないかと。
でも、私にもし告白されたとして、Nはどう思うのだろう。
気持ち悪いと、思うのだろうか。

 

N:「Feel、帰ろ!」

 

突然彼女が私を呼んだ。

驚いたけれども、私はうなずいて彼女と2人で教室を出た。
帰り際に、彼女から先輩から受けた告白について話を聞いた。

 

N:「付き合わなかった。Feelといる方が楽しい」

 

そんなことを言っていた。
嬉しかった。
その彼女の言葉に、私は告白の意識をし過ぎてしまい、そこでは何も言うことができなかった。

 

Nの好きな人がいったい誰なのか、この日から新たな悩みが私に生まれた。




つづく。



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