【1】私に道を指した人

Yさん:3*/***/***/***/****

彼女に指定された場所は、有名な外資系ホテルだった。

その場所は今まで名前は知っていたけれども、私には縁の無い建物で、
入口のドアマンの前を通る時に、とても緊張した。

そのホテルの上階にある、料理店がこの日の待ち合わせ場所だった。
メールでは、

Y:「できるだけオフィシャルな恰好をしてきてね」

そう言われていた。オフィシャルといっても想像がつかなかったので、
スーツなんて面接じゃあるまいし、かしこまり過ぎていると思い、
紺のシャツに、ストライプの入った7分丈の白いパンツ、そして革靴という格好で向かった。

待ち合わせ場所は、料理店前のテラスだった。
広いエントランスの中央に、色とりどりの花が飾られ、ライトアップされていた。
私が着いた時には、エントランスには誰もいなかった。
待ち合わせ時間の30分前に私が到着してしまったのだから、まだ彼女も来ていなくて当然である。

私はテラスにあるベンチに座って待つことにした。
次々にお店に入っていく人を眺めていると、皆さんスーツが多い。
ラフ過ぎたかなという心配と、こんな場所を待ち合わせに指定する人がどういう人物なのか、
興味と不安が入り混じっていた。

トイレに行こうかな、そう思っていると、
カツカツっとヒールの音が近づいてきた。

すごく落ち着いた、歩き方だった。
ヒールの足音が1つだったので、もしやこの人かな?と思ったけれど、
カツカツ音が思いもよらず私の緊張度合いを高めてしまい、音が聞こえてくる方向を見ることができなかった。

しかし、その足音は私に近付いてきて、緊張で一点を見つめていた私の視野に足元が入ってきて立ち止まった。

黒いヒールだった。

私は相手を見上げ、彼女の顔を見て、思わず立ち上がった。
雰囲気に一気に気圧されたしまった。
美しく、品のある女性だった。

Y:「Fさん?」

「そうです。はじめまして」

Y:「はじめまして。入りましょ」

彼女は笑顔で、私を店の中へ促した。
私は彼女の跡を追った。

先を歩く彼女の香りが美しすぎて、思わず視界がぐらついた。


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