【3】私に道を指した人

Yさん:3*/フェム/既婚/細身/会社経営者*

席に通され、改めて彼女を正面から見た。
彼女も私を見つめていた。
瞳がキラキラとしていて、かきあげる茶色い長い髪。

Y:「あなた、メールに誤字脱字が多すぎよ」

彼女は開口一番にそう言った。

「え、すみません」

と初対面の人に思いがけない話をされ、慌てて謝罪する私。

Y:「でもあなたの可愛らしい考えが大好き。幼い感想を読んでいて楽しかったわ」

「ありがとうございます。ん?ありがとうではないですかね。今のは褒められたのでしょうか?」

Y:「どう思う?」

「えっと、、、嫌味だと・・・」

Y:「あなた不思議な子ね。丁寧な子だとはじめは思ったけれど、思考がかなり飛ぶ。そして着地地点が私の想像と違う場所なの。自分でどう思う?」

どう思うと言われても、

私は、ただ苦笑いするしかなかった。

彼女は、会社の経営者だった。
名刺をもらった。

そして、彼女はこの地に住んではいなかったこと、既婚者で息子がいること、旦那さんは単身赴任をしていることを知る。

「Yさんは、ビアンですか?」

Y:「ビアンよ。昔からずっと。今も愛人の女の子が2人いる」

「あ、愛人?!本当に?」

Y:「写真を送っていたでしょ?」

「あ・・・」

彼女が送ってきていた、エッチな画像に写るセクシーな女性の正体を知った。

Y:「人生を楽しんでいるビアンたちは美しいものよ」

「確かに」

Y:「あなたも、メールで出会いを楽しんでいるようじゃない」

「楽しいというか、書いていたように悩んでいます」

私は過去にこの女性に「男性と付き合ってごらん」と言われたことがあった。
その言葉に背を押され、私は合コンという未知の樹海に旅に出たのだけれども。
そこで出会った警察官とデートを重ねたこともあったが、
女性とのデートの時に感じるワクワク感が無く、申し訳ない扱い、振り方になってしまい、合コンは辞めていた。

一応男性も挑戦してみたけれど、上手くいかなかったという報告をここでした。

彼女はワインを飲みながら上品に笑っていた。

Y:「ジェットストリームという日本航空で流れていた夜間ラジオ、聴いたことあるかしら」

「いや、わからないです。飛行機にも乗ったことが無くて」

今では年に数回飛行機に乗るようになったのだが、
私は、20代そこそこまで、飛行機に乗ったことさえなかったのだ。

彼女はウェイターの人を呼んで、何か話をした。
そして会話が終わると、

Y:「夜には、いつもそのラジオで流れていたテーマ曲を聴いているのよ。Wr.ロンリー。私の大好きな曲」

「そうですか、どんな曲ですか?」

検索しようとして、携帯(まだガラケーだった)を取り出そうとしていると、

Y:「この曲よ」

と彼女が言った。

「?」

私は、彼女を見つめた。
そして、耳に届いてきたその曲を聴いた。
さっきのウエイターに頼んで、その曲を会場にいたバイオリニストに演奏を頼んでいたようだ。

彼女は、この曲が深夜ラジオのテーマ曲だと言った。

Y:「いつも、あなたが闇にゆらゆらしている飛行機に見えた。針路は、まだ定まっていない様子。どこへ、向かいたいのかしら。」

彼女はそう言った。

彼女は、いつも主人公が最後に笑顔になっている映画を送ってきてくれた。
白黒だけれども、とても華があり、短い中にストーリーがあった。

Mr.ロンリーは、ロマンチックな曲だった。

心地よい。

私はどこへ進もうとしているのだろう。

道は?方向は?何をしに?

あの映画の数々は•••

もっと人生を楽しめと、

私を勇気づける映画だったのだと、
この時初めて気付くのだ。


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