突然のカミングアウトを受けて。2

「恋人に振られたんです」

 

彼女は少しうつむきながら、そう言った。
そういえば、夏に聞いていた。
職場の数人でご飯に行ったときに、恋人ができたことを。

そして、付き合って3週間で「結婚してほしい、同居をしよう」と言われたとも言っていた。
その時の彼女は、みんなにもてはやされながらも、嬉しそうにしていた。

 

「彼が別れたいと言ったのは彼からで、理由は元カノと関係を戻したいからだそうです。このときは、とても腹が立ちました。最初に「結婚をしたい」と言っていたのは彼だったので、まるで結婚詐欺のようにも感じました。だけれども今は私、自分が彼の「同居したい」といった思いに、うまく乗ってあげることができなかったからだと、とても後悔しています。私は、もともとこの年で結婚をしたいという夢がありました。結婚して仕事を辞めて、家庭で子供の面倒をみたいという。彼が、その夢を叶えてくれる人だと思っていました。結婚してこんな仕事は辞めて、自分がやりたいことをして、毎日輝いて生きていきたいと思っていました。だけれども、私は最後まで心を開くことができなかったのです。」

 

女の子に多い、『〇歳までに結婚したい願望』。
彼女は、その願望を持っていたようだ。
その夢を、彼に話すことができなかったことが、彼女の言う「最後まで心を開くことができなかった」ということなのだろうか。

 

自分を責めているけれども、物事はすべて裏表。

どちらが悪い、なんて一方的なことはないよ。
心を開くことができなかったことが悪かったと思っているかもしれないけれども、もしかしたら開く必要もなくて、開かなくてもよかったかもしれない。

 

そういう私に、彼女は、
耳元の髪をかき上げた。

 

「私は、聴覚に障がいがあるのです」

 

思わぬカミングアウトに、一瞬言葉が出なかった。

 

彼女に障害があるなんて考えもしなかったし、想像もしなかった。
彼女はとても数字に強く、理解力が高いのだ。
計算は早いし、言葉の発音も、言葉の選び方も、何も違和感がない。
見た目はコンサバの、「いまどき」な女性なのだ。
まつ毛エクステもするし、ヒールも履いているし、ネイルだってばっちり。

でも考えてみれば確かに、彼女の席の近くにある電話は私の席の電話とは種類が違う。
それも単なる在庫の関係で違うだけだとずっと思っていたけれども、違う理由が、この一瞬で理解した。

 

 

知らなかったよ。

本当に知らなかった。

 

 

「私は障害があるので、彼に言ったら嫌われるかなと、なかなかいうことができませんでした。でも彼も途中で気づいてくれたのですが、、、私は最後まで機械を(検索で引っかかりたくないので、少し遠回しの書き方をしています)見せることができなかったのです。彼は、見せてと言ってくれたにもかかわらず。たぶん、そのことがあったので彼に別れを言われたのだと思います。障害の陰に隠れた臆病者だと思われたのだと思います」

「私は、障害があることも職場の人にはなかなか話すことができません。それは、昔からのトラウマというか不安があるからで、話して嫌われたくない、馬鹿にされたくないという思いだけでなく、みんなに気を使わせたくないし、同じように扱ってもらいたいという思いがあります。だけれども、話さないことによって本当は大きな罪悪感があるんです。黙っている感じが、すごく罪悪感なのです。」

 




つづく。



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