LGBTに関する制度

【2】各市区のパートナーシップ制度を比較して

前回の続きから書きます。
前の記事は、

「パートナーシップ制度」今LGBTの方々が一番気になる話題ではないしょうか。2015年(平成27年)の4月1日より、渋谷区がパートナーシップ制度に関する条例を作成、日本各地で同制度が広まり始めています。今日時点で、私が調べてみた結果、6市区が制定しています。6…

をご覧ください。

 

2.承認

これらのまとめているパートナーシップ制度は、国の法律ではなく、各市区内で生きる制度となっています。ですので、区は区長、市は市調印の証明書、または受領書をもらうことになります。しかし気を付けたいのが、市区をまたぐと効果はありません。
例えば、あなたが北海道札幌市在住で、かつ札幌市の制度でパートナーとして認められました。しかし職場は小樽市で、生活のほとんどは小樽です。小樽でもパートナーとして認められるかというと、認められません。

ただし、もしその市町が「圏域」という形で、要綱や条例が近くの町でも有効だという協定を結んでいるのであれば、有効になることもあります。
圏域の協定内容は公表されていないかもしれませんので、利用されたい場合は確認をしたほうがいいと思います。

また、渋谷区のパートナーシップ制度では、パートナーの病院受診や入院の対応もできると言われていますが、「任意後見契約」で認められているだけで、「パートナーシップ制度内で認められている」のではありません。
詳しい内容については、4.発行書類でまとめたいと思います。

 

3.申請種類

6市区あるうちの4市区は「宣誓」、渋谷区は「申請」を用いています。

「宣誓」とは、自己の主張が真実であること、あるいは自己の行動がある規範に則っていることを、特に多数の人々に対して言明することです。
簡単に言えば、市町と申請者自身の、「約束」です。つまり、宣誓者自身にも責任と強い意思表示が求められています

また「申請」は、国や公共の機関などに対して認可、許可その他一定の行為を求めること。つまり、事実を自分から申し出ることです。

そして、那覇市の「登録」。これは、市町が一番得意としている仕事で、簡単にできることです。名簿を作成して、整理・管理します。

ということで、この時点でも各市区のスタンスがよくわかります。

 

 

4.発行書類

6市区あるうち、宣誓の4市区は「受領書」、渋谷区は「証明書」、那覇市は「登録証明書」が発行されます。
では、これらの発行書類で、どのようなメリットがあるのかまとめてみます。

ということで、今回の制度についての各市区の一番の目的が、「パートナーとして認める」ことであることが見えてきました。認めるだけです。
ただ認めてもらうことで、民間の事業者がパートナーシップ制度の対象者に行っているサービス、例えば携帯電話会社(家族割引)や航空会社(マイレージ共有)などが利用可能になります。

パートナーシップ制度を利用すると、医療受診や入院の対応ができる。
そう思われている人も多いかもしれませんが、医療受診や入院の対応ができるのは、
「任意後見契約」の効果です。
渋谷区は、任意後見契約をパートナーシップ制度利用の条件の1つにしているので、このようなことができます。任意後見契約は、日本国内どの市町でも公証役場、家庭裁判所、弁護士を通して締結することができます。一般的には、現時点で判断能力がある人が、認知症などにより自分で意思決定ができな句なった時のために利用する制度です。
日本国内で有効ですので、大阪で任意後見契約し、パートナーが東京の病院に入院した際にも、任意後見人として、病院受診に付き添うことができます。あくまで、任意後見人です。

ですが一部の病院では、条例、要綱にかかわらず、「自分が同性のパートナーなのだ」と伝えたところ、一般と変わらない対応をしてもらえた、という話が新聞に取り上げられていました。制度が始まって、いろいろな人の意識が変わってきていることには間違いないと思います。
これから、様々なインフォーマルな仕組みが築かれてくるのかもしれません。

 

5.罰則の必要性

6市区あるうち、要綱・登録の5市区は「罰則の義務無し」、渋谷区は「罰則の義務有り」です。
ですので要綱・登録の市区でパートナーシップ制度に関して不当な扱いを受けた時、行政に文句を言って向かったとします。しかし、おそらく行政は何もしません。担当者レベルでは「市はこういう考えでこの制度を推進しているので、協力をしてください」とは業者に言えますが、それ以上はできないと思います。

ただ渋谷区の罰則内容としては、条例に違反する行為があれば事業者名を公表するとしています。
多様性を認め合う社会をつくるにおいては、今できる一番有効な罰則かもしれません。

 

 

まとめ

今回調べた市区の他に、愛知県では2016年に作成した県の「あいち男女共同参画プラン2020」という計画に、LGBTの人権尊重を明記してきていますし、岐阜県関市ではパートナーを認める書類の作成と、市職員の就業規則の見直しに入っているようです。
市職員の就業規則の見直しについては、千葉県千葉市でも行われています。
また不思議なのが、奈良県奈良市が観光誘致分野で、多様な観光客の誘致としてLGBTなどの観光客向けとして2016年度予算をとっています。・・・多様な観光客で?LGBT? しかも予算額、いくらだと思います?

今年度は、LGBTに関する多くの話題が出てくると想像しますので、随時触れていきたいと思います。

ただこれらの記事を読んで、「だったらどこの市区も条例にしろよ!」「宣誓の市町は何を偉そうな態度を取っているんだ!」そういうことを考えてもらいたいのではありません。
条例を作るのも書いたように苦労が必要ですし、宣誓も市町の中で見えない葛藤もあったことでしょう。
その見えない苦労を想像し、日本のLGBTの現状も考えてもらったうえで、この制度の正しい利用を考えてもらいたいのです。

 

今までLGBTの人々は、「存在しないもの」と考えられてきました。しかし今回の自治体の取り組みでは、多様性を認める社会をつくるために、「LGBTという人も存在するよ」と、世の中に認知を提唱した、ほんのきっかけにすぎません。
日本には47都道府県ありますが、市町の数は1700以上です。
その1700の市町ができないことを、この6市区は実施をしているのですから大変な功労だと思うのです。エールを贈り、これからの動向を注視していきたいものです。

市町が多様性を認めるには、どの方向性に向けて動くかのビジョンが必要です。その点、渋谷区の条例はきちんと書かれており、条例作成者の強い意志が感じられます。
これから、LGBTは間違いなく政治に大きく使われます。
でもそれが嘆くべきことか、喜ばしいことなのかは、今の時点では誰にもわかりません。

私は、楽しもうと思っています。
こんな経験、めったにありません。時代の変化を、一緒に楽しみましょう。

 

 

おわり

 





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