日常の一場面

【9】初告白と初キス。初めて恋人ができました。

2年生になりお互いクラスが変わった。
相変わらず彼女の周りには常に男の子がたくさんいて、私の心は曇り空。

常に、曇り空。

いつ彼女を取られてしまうのかが不安で不安で仕方がなかった。
でもクラスが変わってしまったことがきっかけで、

登下校を一緒にするように時間を合わせるようになっていった。
おかげで会話の量は増えたものの、告白についてあまりに意識してしまって、
みんながいる前では、彼女に親しく声をかけづらくなっていた。

彼女の周りにいる人を見ると、相手が誰であってもやきもちを妬いてしまい、
負の無限ループに陥っていた。
すっかり自分のペースを欠いてしまっている自分に、
ただただ笑うしかなかった。

 

その不思議な恋の思いを、日記に残すことがその当時の趣味となっていた。
この負の無限ループを抜けるには、実は時間が解決をしてくれた。

気付いた時には、不安よりも、
彼女と一緒にいる安心感が勝っていた。
親友以上に彼女を求める心が、私にあった。
気づくたびに、彼女の白い肌と、胸元ばかり見ていた。

 

恋に落ちてしまった。

 

ネットで女の子同士の付き合い方を何度も検索した。
もし彼女に嫌われてしまったらとも考えたが、彼女の誰にでも分け隔てない態度を見ていると、
偏見というものを一切感じなかった。

物事への見識がとても広く、また寛大で、攻撃的な面が全くと言っていいほど無かった。
彼女はとても精神的に落ち着いた人だった。
彼女に、触れたいと思った。
手をつなぐだけじゃ、足りないと。

 

 

 

場所は演劇部の部室だった。
木造でできた2階建ての校舎で、1階は物置き部屋、2階は広い劇の練習舞台だった。

すりガラスの大きな窓から、部屋に夕日が差し込んで、
舞台全体をオレンジ色に染めていた。

 

白いドレスを来て、舞台の反対側、影になっている部分で大きな鏡の前で踊る彼女。
演目は「ガラスの仮面」。
彼女が、小走りに舞台に上がり、セリフをしゃべった。

 

 

4月の終わり、まだ少し寒かった気がする。
私は舞台が見渡せる側面の真紅の美しいソファーに座っていた。
部室には、私たち二人きり。

彼女がこちらを向いた。

 

「ねえ。」

N:「?」

 

彼女は踊り始めた。

 

「私、Nのこと好きです。私女性だけど付き合ってくれない?」

 

彼女は一瞬踊りが止まり、私を振り返った。
逆光で、表情が見えなくて。
きっと彼女には私の不安そうな顔が、すべて見えていたことでしょう。
彼女はゆっくり近寄ってきた。

そしてソファーの私の左隣に座った。

 

N:「待っていたよ」

 

で、そこでキス。
私の、女性との恋が始まった。





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